高速ストレージデバイスはもはや重くてかさばるものではなく、ポケットに収まるほどの小型サイズに進化しています。このNVMeドライブは、従来のハードドライブよりも軽量かつコンパクトで、さらに高い信頼性を持ち、ハードディスクドライブ(以下、HDD)が徐々に姿を消していく要因となっています。私たちはHDDからSATA SSD、さらにM.2 SSDへと進化してきた過程で、データ転送速度も大幅に向上し、今では多くのユーザーが回転ディスク式のドライブを好まなくなりました。
現在の第5世代SSDでは、データの読み取り速度が12,000MB/sに達し、過去のストレージ技術と比較しても圧倒的な性能を誇ります。この進化により、データ転送が飛躍的に高速化され、パソコンやゲーム機など、多くのデバイスでよりスムーズな体験が可能となっています。
本記事では、数あるNVMe SSDの中から、自分に最適なモデルを選び、快適なデジタルライフをサポートするためのおすすめSSDをご紹介します。また、選び方のポイントについても詳しく解説しますので、ぜひ購入の参考にしてください。
目次
NVMe SSDの選び方のポイント
NVMe SSDは、従来のHDDやSATA SSDと比較して圧倒的なパフォーマンスを誇るストレージデバイスです。しかし、数多くのモデルが市場に出回っているため、最適なSSDを選ぶのは容易ではありません。ここでは、NVMe SSDの選び方のポイントを詳しく解説します。
読み取り・書き込み速度
NVMe SSDの最大の魅力は、その高速な読み取りおよび書き込み速度です。用途に応じて速度を選ぶことが重要です。一般的な用途では500MBps〜3,000MBps程度の速度で十分ですが、ゲームや高負荷なアプリケーションを使用する場合は、4,000MBps以上のモデルを検討することをおすすめします。特に、最新の第5世代SSDでは12,000MBpsに達するものもあり、高速データ転送が可能です。
容量
SSDの容量は、使用目的に応じて選ぶ必要があります。一般的に、以下のように容量を選ぶと良いでしょう。
- 500GB〜1TB:通常の使用(オフィスアプリ、ウェブブラウジング、軽めのゲーム)
- 1TB〜2TB:ゲームや大容量データを扱う場合
- 2TB以上:プロフェッショナル用途や大量のデータを保存する場合
必要な容量を見極め、自分の使用スタイルに合ったモデルを選びましょう。
耐久性
SSDの耐久性は、使用する上で非常に重要です。耐久性を示す指標として「TBW(テラバイト書き込み)」や「MTBF(平均故障間隔)」があり、これらの数値が高いほど長持ちするとされています。高負荷の作業や頻繁に書き込みを行う用途では、耐久性の高いモデルを選ぶことをおすすめします。
放熱性能
NVMe SSDは高いパフォーマンスを発揮する一方で、発熱も大きくなります。特に高負荷の作業を行うと、温度が上昇し、性能が低下することがあります。これを防ぐために、放熱対策が施されたモデルを選ぶか、別途ヒートシンクを取り付けることも考慮しましょう。
互換性
NVMe SSDは主にM.2形式で提供されていますが、使用するPCやマザーボードにM.2スロットがあるか確認が必要です。
また、マザーボードがどのバージョンのPCIeをサポートしているかを確認することが非常に重要です。互換性がない場合、SSDの性能を最大限に引き出せない可能性があります。例えば、マザーボードがPCIe 3.0のみをサポートしている場合、Gen 4やGen 5のSSDを取り付けても、その性能をフルに活用することはできず、速度が低下してしまいます。このため、自分のシステムが対応しているPCIeのバージョンを事前にチェックし、それに合ったNVMe SSDを選ぶことが重要です。正しい選択をすることで、SSDの性能を最大限に引き出し、快適なデジタル体験を実現できます。
価格
価格は選び方において重要な要素です。高性能なNVMe SSDは高価な傾向がありますが、コストパフォーマンスを考慮して選ぶことが大切です。性能と価格を比較し、自分の予算に見合ったモデルを選ぶことで、満足度の高い買い物ができるでしょう。
おすすめのNVMe SSDモデルはこれだ!
【Acer】Predator GM7000 2TB M.2 SSD
ブランド | Acer |
ストレージ容量 | 2TB |
規格サイズ | m.2 NVMe |
インターフェース | PCIe Gen4 |
読込速度 | 7,400 MB/s |
書込速度 | 6,700 MB/s |
TBW | 1,300 TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 150万時間 |
DRAM | 2,024 MB |
保証期間 | 5年間 |
➕️DRAMキャッシュ搭載
➕️コストパフォーマンスが優れている
➖️グラフェンヒートシンクにより温度がわずかに上昇
Predator GM7000は、今購入すべき最良のNVMe SSDとして全ての条件を備えています。特に2TBモデルは、25,000円未満で購入可能で、内部ストレージとしては非常にコストパフォーマンスが良いと言えます。このSSDはPCIe 4.0 X4に対応し、読み込み速度7400MB/s、書き込み速度6700MB/sを実現しており、競合製品と比べても優れた性能を持っています。
このドライブの最大の特徴は、同価格帯のSSDでは珍しい独立したDRAMキャッシュを搭載している点です。一般的に同スペックのSSDは高価格帯に位置するため、コストを抑えつつ高性能を求めるユーザーには最適な選択肢です。
さらに、グラフェンを使用した冷却パッドと12nmの低消費電力コントローラーを組み合わせることで、優れた熱放散性能を実現しています。ストレージオプションは、512GB、1TB、2TB、4TBの4種類があり、ユーザーのニーズに応じて選択することができます。また、付属のAcronis True Image OEMソフトウェアを利用すれば、データ転送やクローン作成、復元も非常に簡単に行えます。
さらに、5年保証と手厚いカスタマーサポートも備わっており、購入後の安心感を提供します。Predator GM7000は、内部ストレージの選択肢として非常に信頼性が高く、コストパフォーマンスに優れた一品です。これにより、ゲームや大容量データの保存が快適に行えるため、PCのパフォーマンスを最大限に引き出すことができるでしょう。
【Crucial】P3 Plus SSD
ブランド | Crucial |
ストレージ容量 | 500GB/1TB/2TB/4TB |
規格サイズ | M.2(2280) |
インターフェース | PCIe Gen4 |
読込速度 | 最大 5,000 MB/s |
書込速度 | 最大 4,200 MB/s |
TBW(容量ごと) | 110/220/440/800 TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 150万時間 |
DRAM | なし |
保証期間 | 5年間 |
➕️安価
➕️十分なデータ転送速度
➖️DRAMキャッシュなし
P3 Plus SSDは、手頃な価格ながら、Gen 4 NVMe SSDとして多くのユーザーに満足のいくパフォーマンスを提供する製品です。シーケンシャル読み取り速度が最大5,000MB/s、書き込み速度が最大4,200MB/sと、ゲームプレイや大容量データの転送にも対応できる速度を誇ります。Crucialは、このドライブを500GB、1TB、2TB、4TBの4つの容量で展開しており、用途に合わせた選択が可能です。
このドライブには5年間のメーカー保証、または製品のSMARTデータで測定されたバイト数が製品データシート上に記載された最大総書込バイト数(TBW)に到達するまでのいずれか早い方の保証が付いており、長期間の安心感を提供します。Crucial Storage Executiveという専用ソフトウェアを利用すれば、簡単にファームウェアの更新や健康状態の確認が可能です。また、Acronis True Imageソフトウェアを活用することで、現在のドライブのクローン作成も手軽に行え、よりスムーズな移行をサポートします。
なお、DRAMキャッシュが非搭載という点は留意が必要ですが、この価格帯では他ブランドのSSDもほとんどDRAMを搭載しておらず、大きな欠点にはなりません。実際の使用においても、P3 Plus SSDは安定したパフォーマンスを発揮し、従来のHDDやSATA SSDからの移行に十分な価値を提供してくれます。
【TEAMGROUP】T-Force A440
ブランド | TEAMGROUP |
ストレージ容量 | 1TB/2TB/4TB/8TB |
規格サイズ | M.2(2280) |
インターフェース | PCIe Gen4.0 x4 with NVMe 1.4 |
読込速度 | 最大 7,400 MB/s |
書込速度 | 最大 6,900 MB/s |
TBW(容量ごと) | 700/1,400/3,000/6,000 TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 300万時間 |
DRAM | あり |
保証期間 | 5年間 |
➕️ヒートシンク付き
➕️DRAMキャッシュを搭載
➖️競合他社よりやや高価
T-Force A440は、最新のGen 4規格に対応した高速なNVMe SSDで、グラフェン冷却パッドまたはアルミニウム製ヒートシンクのいずれかを選べる設計が特徴です。このヒートシンクオプションにより、PlayStation 5での使用にも対応しており、ゲーミングやプロフェッショナル用途に最適なストレージソリューションとして注目されています。読み取り速度は最大7,400MB/s、書き込み速度は6,900MB/sを誇り、高負荷のタスクや大容量ファイルの転送もスムーズにこなします。
さらに、T-Force A440には、SMARTモニタリングソフトウェアが付属しており、温度やドライブの状態をリアルタイムで確認でき、データ転送速度のテストも可能です。これにより、ユーザーはSSDのパフォーマンスを常に最適な状態で管理できるため、長期的な安心感を得られます。耐久性も優れており、製品データシート上に記載された最大総書込バイト数(TBW)に到達するか、5年間の保証が提供され、長期使用に十分なサポートがなされています。
また、DRAMキャッシュを内蔵しているため、大容量データの処理がより効率的で、DRAMレスSSDに比べて圧倒的なデータ転送性能を実現しています。特に、アルミニウム製のヒートシンクが付属しているため、マザーボードにSSD用の冷却機能がない場合でも柔軟に対応可能です。このため、PCとコンソールのどちらでも快適に使用でき、多用途な性能が魅力です。
合成ベンチマークテストでも安定した結果を示しており、ミドルレンジながら高いパフォーマンスを発揮するSSDとして、ゲーマーやクリエイターにおすすめできる選択肢です。コスト面では最も手頃ではありませんが、T-Force A440のパフォーマンスと信頼性を考慮すれば、価格に見合う価値がある製品といえます。
【Crucial】T700 PCIe 5.0 NVMe SSD
ブランド | Crucial |
ストレージ容量 | 1TB/2TB/4TB |
規格サイズ | M.2(2280) |
インターフェース | NVMe (PCIe Gen 5 x4) |
読込速度 | 最大 12,400 MB/s |
書込速度 | 最大 11,800 MB/s |
TBW(容量ごと) | 600/1,200/2,400 TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 160万時間 |
DRAM | 4,096 MB |
保証期間 | 5年間 |
➕️優れた熱対策
➕️超高速転送速度
➕️PlayStation 5に対応
➖️高額
➖️ゲームにはオーバースペック
T700は、まだ新しく高価な部品ですが、PCの将来性を考えた際に注目される存在です。特に、プロのクリエイターやデータ処理の負荷が高い業務環境においては、優れたパフォーマンス向上が期待できる場合があります。T700は、現時点での最新Gen 5 NVMe SSDのひとつで、読み取り速度最大12,400MB/s、書き込み速度最大11,800MB/sという驚異的な速さを実現しています。このモデルには、異なるマザーボード構成に合わせて、ヒートシンク付きとヒートシンクなしのオプションが用意されており、Gigabyte AORUS Gen 5 12000 SSDのような派手なファンや大型のヒートパイプを搭載していないシンプルな設計が特徴です。
CrucialはT700を1TB、2TB、4TBの容量で提供し、さらに上位モデルとして、読み取り速度が最大14,500MB/sのT705もラインナップに加えています。ただし、T705は速度向上がわずかで価格がさらに上がるため、コストパフォーマンスが低くなります。
一方で、現行の一般的なハードウェアは、この最新世代のSSDから最大限の性能を引き出すにはまだ不十分であるため、恩恵を受けられるのは膨大なデータを扱うワークステーションや高度な作業環境に限られます。ゲームに関しては、Gen 5の高速性がフレームレートやロード時間に大きな影響を与えることは少なく、そのため、ゲーミングPCを強化する目的であれば、同じ予算をCPUやGPUなどに充てたほうが効果的です。
総じて、T700は、プロの動画編集者やAIモデルトレーニングを実施するユーザーにとって最適な選択肢であり、日常的な作業や一般的なゲーマーには過剰なスペックとなるでしょう。
【Samsung】990 Pro
ブランド | Samsung |
ストレージ容量 | 1TB/2TB/4TB |
規格サイズ | M.2(2280) |
インターフェース | PCIe Gen 4.0 x4, NVMe 2.0 |
読込速度 | 最大 7,450 MB/s |
書込速度 | 最大 6,900 MB/s |
TBW(容量ごと) | 600/1,200/2,400 TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 150万時間 |
DRAM(容量ごと) | Samsung LPDDR4 1GB/2GB/4GB |
保証期間 | 5年間 |
➕️高品質で高い信頼性
➕️最速クラスのGen 4 SSD
➕️ヒートシンク付きモデルも選択できる
➖️高額
990 PROは、サムスンが誇る最速かつ最上級の第4世代NVMe SSDで、同社のフラッグシップモデルに位置付けられています。読み取り速度は最大7,450MB/s、書き込み速度は最大6,900MB/sを実現しており、WD Black SN850XやSK Hynix Platinum P41といった同クラスの競合製品と肩を並べるパフォーマンスを発揮します。このSSDは、アルミニウム製ヒートシンクの有無を選択でき、幅広いシステム構成に対応可能です。容量は1TB、2TB、4TBの3種類が用意されており、いずれも5年間の保証、もしくは1TBあたり600TBWまでの書き込み耐久性が提供されています。
990 PROにはDRAMキャッシュが搭載されているため、DRAM非搭載モデルと比較してデータ転送や処理速度が大幅に向上しており、高速な処理が求められるタスクに最適です。ゲーム用途ではそこまで恩恵を感じないかもしれませんが、3Dレンダリングや動画編集といったクリエイティブ作業において、そのパフォーマンスの高さを発揮します。加えて、Samsung Magicianソフトウェアを使用することで、データ移行やヒートシンク付きモデルのRGBライティング制御が簡単に行えます。高い信頼性とデータの安全性、さらに長寿命を備えた990 PROは、プロフェッショナルユーザーや高性能を求めるユーザーにとって、理想的なSSDと言えるでしょう。
【Western Digital】WD_BLACK SN850X(ヒートシンク付き)
ブランド | Western Digital |
ストレージ容量 | 1TB/2TB/4TB |
規格サイズ | M.2(2280) |
インターフェース | PCIe Gen 4.0 x4 |
読込速度 | 最大 7,300 MB/s |
書込速度 | 最大 6,600 MB/s |
TBW(容量ごと) | 600/1,200/2,400 TBW |
MTBF(平均故障間隔) | 175万時間 |
DRAM | 非公開 |
保証期間 | 5年間 |
➕️PlayStation 5に対応
➕️高い合成ベンチマークスコア
➖️割高
PlayStation 5のストレージを拡張するには、M.2タイプのSSDで、専用のヒートシンクが付いていること、さらにシーケンシャル書き込み速度が最低5,500MB/sである必要があります。この条件を満たすWestern DigitalのSN850X(ヒートシンク付き)は、最大7,300MB/sのGen 4読み取り速度を誇り、PS5のパフォーマンス向上に最適な選択肢です。PS5には拡張スロット用のヒートシンクが備わっていないため、SSD本体にヒートシンクが付いていることで、過熱による性能低下やトラブルを回避できます。
SN850XのヒートシンクにはRGBライティング機能も搭載されていますが、PS5内部に装着するため、光は外部から見えません。そのため、外観を気にしない方には些細な点かもしれません。このRGBライティングは、ユーティリティソフトウェアのWestern Digital Dashboardで制御可能で、ファームウェアのアップデートや温度監視、データ管理も行えます。
耐久性についても優れており、5年間の保証が付き、書き込み耐久性も各容量ごとに600/1,200/2,400 TBWと高水準です。また、DRAMキャッシュを備えているため、ゲームのロード時間が短縮され、安定したデータ処理が実現されることで、ストレージに対する信頼性も向上します。SN850Xは、PS5のパフォーマンスを最大限に引き出すための理想的なSSD拡張オプションといえるでしょう。
コメント